外壁のメンテナンスには、外壁塗装と外壁洗浄という2つの主要な方法があります。どちらも外壁の美観と耐久性を保つために重要ですが、それぞれの目的や方法、効果には大きな違いがあります。
今回は、外壁塗装と洗浄の違いについて詳しく説明します。
まずは外壁塗装と外壁洗浄のそれぞれの目的や施工の流れ、効果にについてざっくりと説明していきます。
外壁塗装の主な目的と効果

外壁塗装の目的
外壁塗装の主な目的は、建物の外観を美しく保つことと、外壁を保護することです。塗装は外壁を紫外線や雨風から守り、劣化を防ぐ役割を果たします。また、塗装を施すことで建物全体のイメージを一新することができます。
外壁塗装の施工の流れ
外壁塗装は、一般的に以下の手順で行われます。
- 足場設置
安全かつ効率的に作業を行うために、まず足場を設置します。足場はしっかりと固定し、安全ネットや養生シートを取り付けます。 - 下地処理
装前に、外壁の汚れや劣化部分を修理し、下地を整えます。ひび割れや剥がれがある場合は、修繕してから塗装を行います。特に、破損箇所や劣化した部分を補修することは、塗装の仕上がりと耐久性に大きく影響します。 - 養生
塗料が付着しないように、窓やドア、植栽などを保護シートで覆います。これにより、塗料が不必要な場所に飛び散るのを防ぎます。 - 塗装
塗り、中塗り、上塗りの3回に分けて塗料を塗ります。下塗りは接着力を高めるためのもので、中塗りと上塗りで色と仕上がりを整えます。この三層構造により、耐久性と美観が向上します。
外壁塗装の効果
外壁塗装の効果は主に以下のようなものが挙げられます。
- 美観の向上
色やデザインを自由に選べるため、建物の外観を新しく美しくできます。古びた外観を一新し、建物全体の印象を大幅に改善することができます。 - 保護機能
塗料が外壁をコーティングし、紫外線や雨風から守ります。これにより、外壁の劣化を防ぎ、長持ちさせます。 - 長寿命化
適切な塗装により、外壁の寿命を延ばし、長期間にわたり建物を保護します。特に、防水性の高い塗料を使用することで、雨水の浸入を防ぎ、内部構造の腐食を防ぐ効果があります。
外壁洗浄の主な目的と効果

外壁洗浄の目的
外壁洗浄の主な目的は、外壁に付着した汚れやカビ、苔、排気ガスのすすなどを除去し、外壁の美観と衛生状態を保つことです。
外壁洗浄の施工の流れ
外壁洗浄は、主に以下の手順で行われます。
- 水洗い
水で外壁を洗い流します。これにより、大部分の汚れやほこりが除去されます。水洗いの方法はホースで洗い流す場合と高圧洗浄機を使用する場合があります。 - 洗浄剤の使用
頑固な汚れには、外壁に適した洗浄剤を使用します。洗浄剤を塗布し、水で洗い流します。 - すすぎ
洗浄剤をしっかりと拭き取り、またはすすぎ洗いをします。
※専門業者によっても洗浄方法や使用する洗浄剤も大きく異なります
外壁洗浄の効果
外壁洗浄の効果は主に以下のようなものが挙げられます。
- 美観の回復
外壁の表面の汚れを除去することで、建物の外観を清潔に保ちます。特に、長期間放置された汚れを落とすことで、外壁が明るく見えるようになります。 - カビや苔の防止
湿気によるカビや苔を取り除き、再発を防ぎます。これにより、外壁の健康状態を維持し、カビによる健康被害を防ぐことができます。 - 塗装のタイミングを延ばす
定期的に外壁洗浄を行うことで、外壁の汚れや劣化を早期に取り除き、塗装の劣化を防ぐため、外壁塗装のタイミングを先に延ばすことができます。これにより、長期的なメンテナンスコストを抑えることが可能です。
目的・施工方法・効果の違い
外壁塗装と外壁洗浄のそれぞれの目的な施工方法、効果の説明をしましたが、ここでそれぞれの違いについてまとめてみます。
目的の違い
外壁塗装 | 建物の外観を美しく保つことと、外壁を紫外線や雨風から保護する機能面のメンテナンスを目的としています。 |
外壁洗浄 | 外壁の汚れやカビ、苔を除去し、美観と衛生状態を保つことを目的としています。 |
外壁塗装も外壁洗浄も「外壁をきれいにする」という点では同じ目的です。塗装は外壁本来の「機能の回復」、洗浄は「美しさを回復する」というのが主な目的の違いと言えます。
施工方法の違い
外壁塗装 | 足場の設置、下地処理、養生、塗装の4段階で行います。塗料を使用して外壁をコーティングし、色と保護機能を付与します。塗装前に破損箇所があれば補修を行うことが重要です。 工程が多いため施工日数も長くなります。 |
外壁洗浄 | 洗浄剤を使用して汚れを洗い流します。洗浄する建物によりますが、基本的には足場の設置をすることなく洗浄をする場合が多いです。 施工範囲によりますが、早ければ数時間で完了します。 |
施工の工程が全く異なるため、多くの工程や作業が必要となる外壁塗装では足場の設置が必須となりますが、洗浄の場合は足場の設置をすることは少ないでしょう。
効果の違い
外壁塗装 | 外観の向上、外壁の保護、建物の長寿命化を実現します。防水性や耐候性を高める効果もあります。耐用年数は一般的に10~15年程度と言われています。 |
外壁洗浄 | 外観の回復、外壁を清潔に保ち、美観を維持する効果があります。さらに、定期的な洗浄により外壁塗装のタイミングを先に延ばすことができ、長期的なコスト削減が期待できます。 |
費用面での違い

初期費用の違い
外壁塗装の初期費用は外壁洗浄に比べて高額です。塗装には外壁の機能を回復するための塗料や下地処理、足場設置の費用が含まれるため、一般的な2階建ての住宅で平均的な費用は100万円~150万円程度と言われることが多いです。もちろん使用する塗料により、費用にかなり幅がありますので、あくまでも参考程度にお考え下さい。
一方、外壁洗浄は汚れの除去と見た目の回復が主な目的となるので、費用は塗装に比べると非常にリーズナブルで、気軽にメンテナンスができるでしょう。
長期的なコスト
外壁塗装は初期費用が高いものの、長期間の保護効果があり、定期的な再塗装を行うことで建物全体のメンテナンスコストを抑えることができます。
一方、外壁洗浄は短期的なメンテナンスに適しており、定期的に行うことで外壁の美観を保ち、塗装の効果を長持ちさせるサポートとなります。また、外壁洗浄により外壁塗装のタイミングを先に延ばすことで、長期的なコスト削減が期待できます。
組み合わせによる最適化
外壁塗装と外壁洗浄を組み合わせることで、コストパフォーマンスを最適化できます。外壁の劣化は避けて通ることはできませんので、いずれ外壁塗装をするべき時期がきますが、定期的な洗浄で汚れを除去し、塗装の劣化を防ぐことで、塗装の頻度を減らすことができます。これにより、トータルのメンテナンス費用を抑えることが可能となります。
まとめ
外壁塗装と外壁洗浄は、それぞれ異なる目的と効果を持つ重要なメンテナンス方法です。
外壁塗装は高額な初期費用がかかりますが、長期的な保護効果と美観の向上が期待できます。
外壁洗浄は低コストで美観を回復する方法であり、定期的に行うことで外壁の劣化を防ぐ効果があります。また、外壁洗浄によって外壁塗装のタイミングを先に延ばすことができ、長期的なメンテナンスコストを抑えることが可能です。

外壁の状況やメンテナンスの目的に合わせて、最適な方法を選ぶことで、長い目で見たときのコストを抑えることができます。必要に応じて専門業者に相談し、最適なメンテナンス計画を立てることをおすすめします。